建設業の事故傾向

安全対策

建設業における労災事故

建設業は事故が多い業種です。昨年(令和4年)の死亡者数は281人、そのうち墜転落が原因の死亡者数は116人です。4日以上の休業までいれると、14,539人、そのうち墜転落が原因となると4,594人になります。墜転落が如何に多いかが分かります。しかしこの数値は「労働災害」のため一人親方や中小企業主などの労災に入らない方は除かれています。ちなみに、労働災害に当たらない死亡者数は72人います。つまり建設業全体では、281人+72人=353人の方が令和4年に亡くなりました。毎日どこかでおひとりお亡くなりになる計算です。

4日以上の休業で、毎日40人程度の方が事故に見舞われている計算になります。これを多いと見るか少ないと見るか、皆さんはどうでしょうか? 確率としては低いのかもしれませんが、もし貴社で事故が起こったらどうなりますか? 影響が大きいと思いませんか? そのための対策であり、命を守る対策ですので、安全について今一度考えてみましょう。

事故の原因

事故といっても多くの種類があります。特に低層住宅現場における事故については、次のような傾向があります。

・圧倒的に墜転落事故、次が工具による事故が多い
・職種は大工さん
・作業は建て方時と内部造作時
・墜転落は、足場と脚立
・工具では丸ノコとくぎ打ち機

特に脚立からの転落事故が、年々増えているそうです。内部造作時はヘルメットを被らないというケースを見かけますが、少なくとも脚立での作業時はヘルメットを被る事を「会社のルール」として定めたらいかがでしょうか?

安全対策のポイント

事故の原因から考えると、安全対策のポイントは次のようになります。

・建て方時及び足場作業時の安全対策
・墜転落危険個所の安全対策
・内部造作時のヘルメット着用
・工具の使い方

上記は直接的な事故への対策になりますが、別途現場としての安全対策としては下記のような事項も考えてください。

・敷地への侵入防止策
・足場への侵入防止策
・現場作業員の健康管理

上記については、「敷地入口にはゲートを設置」「仮囲いは必要か」「足場への侵入防止」「熱中症対策は元請けの義務」などの記事を参考にしてみてください。

住宅建築規模だと、安全対策を軽く見ている様子が見てとれます。事故はいつ起こるか分かりません。起きないかもしれませんし、今日起こるかもしれません。対策を怠っているほど実際に起きた時の影響(人、会社、地域など)が大きくなります。今一度見直してみましょう。

安全に関する研修や、業者会・安全大会での講演等も承ります。業者会・安全大会では、先に現場を見せていただければ、その評価を踏まえてお話しします。
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