人それぞれ考え方は違う
工務店も業務改善をおこないましょう!と言っても、実際に進めていくのは社員・幹部になります。しかし多くは「なんでこんな面倒なことをするの?」という疑問は疑念が先にきてしまい、最初は自分事として捉える方は少ないです。社員の立場で大きく異なりますが、傾向としては一般社員であるほどそのような反応になります。何故そうなるのか? それは会社や仕事に求めていることが社長や経営者とは違うからです。
マズローの欲求5段階で考えてみる
どこかで聞いたいことがあると思いますが、マズローの欲求5段階説とは、人間の欲求を「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5つの階層に分かれているという理論です。
(1)生理的欲求
生理的欲求とは、食事や睡眠といった人間が生きていくための本能的な欲求を示した階層です。
(2)安全の欲求
安全の欲求とは、身の危険を感じるような状況から脱したいという欲求です。心身共に健康、かつ経済的にも安定した環境で、安心して暮らしたいという当然の欲求です。
(3)社会的欲求
社会的欲求とは、集団に所属したり仲間を得たいという欲求のことです。家族や友人、会社などから受け入れられたいと願う欲求です。
(4)承認欲求
他者から認められたいと願う欲求のことです。「集団の中で認められたい」、「他者から尊敬されたい」といった欲求です。
(5)自己実現欲求
自分が満足できる自分になりたいという欲求のことです。上記の(1)から(4)までの欲求を満たしたうえでないと実現できないと考えられています。
それぞれの詳しい欲求の内容については、ネットで調べると出てきますのでそちらを見てください。
それぞれの社員はどの段階にいるのか?
社長や経営者は、おそらく自己実現欲求の段階にあると思います。しかし社員さんはどこですか? 承認欲求の強い方もいれば、中には安全の欲求段階の方もいるかもしれません。例えば、安全の欲求の社員に対し、「これをすれば社会貢献につながる」と言っても自分事に捉えることは難しいですよね。
つまり業務改善や現場改善をおこなうとしても、個々欲求や能力に応じて目標設定などをしなければならないということです。もちろん最終目標は同じです。個々の役割において使い分けるという意味です。しかし本来責任者という立場にありながら、「私は安全の欲求です」は通用しません。その場合はその立場を降りていただくか、立場に応じた仕事をしてもらわなければなりません。
的確な指導が大切
よく「いくら言っても変わらない」と嘆く経営者がおられます。しかし社員が考えていることは経営者の考えと異なるのが当たり前です。よって、いくら「これが良い」と言っても伝わらないのです。ではどうするのか?
まずは「求めていることは違う」という認識を持ち、その上で会社が目指す方向やそのためにおこなわないといけないことを、何度も説明する必要があります。そして社員個々の欲求段階を把握し、それに合わせた目標設定をしていくことです。
人は何らかの成功体験をすると、うれしくなりもっと頑張ろうとなります。それぞれの欲求段階の社員に、小さな目標を与えて成功体験を与えていくこと、これを繰り返していくとこでもっと良くなろう、もっと頑張ろう、そしてもっと認めてもらおうというように段階が上がっていくものです。そこを理解せずに「ただやれ」「やれば出来る」のような声掛けでは、最初はいいかもしれませんが長続きしません。要するに、的確な指導が必要という事ですね。
これを突破できれば、社員自らが考え改善する社風が生まれてきます。新たなリーダーも育つと思います。少し時間はかかるかもしれませんが、このような考え方も必要だと思っています。
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