足場の作業床と建物との間隔

安全対策

足場の作業床と建物との間隔はどこに明記されている?

てすりと中桟の記事でもお伝えしていますが、足場の作業床と建物との間隔が30cm以内か、超えるかによって、内側の手すりと中残の設置方法が変わることになります。ではこの30cmという数値は、どんな規定に明記されているのかを以下に示します。

1.足場先行工法のガイドライン(厚生労働省)
(2) 外壁と作業床の間隔及び墜落防止措置
イ.建方作業及び外壁施工前
足場からの墜落を防止するため、足場は建築物の外壁位置と足場の作業床の端とができるだけ接近した位置となるように設け、足場には手すりを設けること。前手すりを設けることが困難な場合には労働者に安全帯を使用させること。
ロ.外壁施工後
建築物と足場の作業床との間隔は、30センチメートル以下とすること。30センチメートル以下とすることが困難な場合には、足場に手すりを設けること。手すりを設けることが困難な場合には、ネットを設け又は労働者に安全帯を使用させる等墜落防止のための措置を講ずること。

2.住宅工事用くさび緊結式足場の組立て及び使用に関する技術基準(仮設工業会)
(4) 建築物との間隔
「足場先行工法のガイドライン」など一般的には外壁施工後において墜落の恐れがない建築物との隙間は「30㎝以下」とされている。住宅工事用くさび緊結式足場の作業床と外壁との間隔は、墜落のおそれがないように、できるだけ小さくすること

3.JASS2 2017年度版 5節P104
建物の外壁となる位置と足場の作業床との間隔は、300㎜以下とすること。300㎜以下とすることが困難な場合には、手すりに中さん及び幅木を併用するなど、墜落防止のための措置をおこなうこと。

規定はあくまでも最低基準

足場の作業床と建物との間隔が30cm以内という事は、上記のようにいくつかの規定に書かれています。ただしこれらは最低基準です。仮設工業会の規定では、「できるだけ小さくすること」と書かれています。どういう意味かというと、30cm以内であろうともしその隙間から転落したら、企業としての安全に対する対応が問われます。基準以内であったとしてもです。

このように、安全に対する規定についてはどれでも同じ考え方で、あくまでも最低基準を示しているにすぎず、これらを踏まえて企業としてどのような安全措置を講じるか、それが企業の姿勢に繋がってくるという事です。「コストがかかるから、安全対策は不十分」といったことであれば、そのような会社だと思われるということです。

最終手段は安全帯(墜落制止用器具)

実際には、30cmを超えているが内手すりも付けていない、ネットも設置していないというケースがほとんだと思われます。ではどうするか? 最終手段はせめて安全帯(墜落制止用器具)を付けることぐらいはしましょう。この場合、当該場所には「安全帯使用」といった表示までしましょう。表示で安全を促すことになります。これも無く事故が起こった場合は、安全に対する措置が不足ということで厳しいペナルティを課されるかもしれません。

何も起きないことを祈りますが、毎年墜転落で亡くなる方が一定数います。そのひとりに入らないよう、個人においては自分の命は自分で守るといった考えを、企業としてはしっかりとした教育や対策を講じることが大切ですので、今一度社内・業者・職人も含めた安全教育を実施しましょう。

安全に関する研修や、業者会・安全大会での講演等も承ります。業者会・安全大会では、先に現場を見せていただければ、その評価を踏まえてお話しします。
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