工事現場の脚立

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現場監督
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脚立の事故は意外に多いようですね

さの
さの

現場での事故は墜転落が圧倒的に多いです。

そのうち、脚立からの転落でも死亡事故につながっています。

脚立の種類

建築現場で使われる脚立には、大きく分けて3種類あります。それぞれ特徴や用途が異なりますので、作業内容や場所に合わせて適切な脚立を選ぶことが重要です。

  • 兼用脚立:はしごとしても使える2本または3本の支柱がついた脚立です。高さは80cmから4mまで様々で、高所作業に便利です。ただし、はしごとして使う場合は補助者が必要です。
  • 専用脚立:開くだけで使える4本の支柱がついた脚立です。作業高さは90cmから360cmまで様々で、安定性が高いです。最上段や天板には乗らないように注意してください。
  • 足場台:高さが低く(1mから1.5m程度)、作業スペースが広い足場板がついた脚立です。床面や壁面の作業に便利です。足場板には乗らないように注意してください。

はしごについてはこちらの記事もご覧ください。

脚立の使用に関する法令を守る

建築現場では、労働安全衛生規則第518条(作業床の設置等)により、高所作業(2m以上の高さで行う作業)での脚立の使用が原則禁止されています。これは、脚立は昇降具であり、作業床とはみなされないためです。墜落事故を防ぐためにも、足場を組んだり、作業台を使ったりすることが求められます。

しかし、作業床を設けることが困難な場合は、防網を張ったり、墜落制止用器具を着用したりすることで、脚立を使用することができます。この場合、事前に使用許可届を提出し、許可証を脚立に表示する必要があります。

脚立の危険な使用方法を避ける

脚立からの墜落事故は、以下のような危険な使用方法によって発生することが多いです。

  • 脚立にまたがったり、座ったり、寝そべったりするなどの不安定な姿勢で作業する。
  • 脚立の最上段や天板に乗ったり、手すりや支柱に掴まったりする。
  • 脚立を平坦でない場所や傾斜面に設置したり、壁や柱などに寄りかかったりする。
  • 脚立を連結したり、別の物体に乗せたりして高さを稼ごうとする。
  • 脚立から離れた場所に手を伸ばしたり、重い物や大きな物を持ち上げたりする。
  • 補助者がいない状態ではしご兼用脚立を使ったり、安全帯や墜落制止用器具を着用しなかったりする。

これらの使用方法は、脚立の安定性や強度を低下させたり、使用者のバランスを崩したりすることで、転倒や転落のリスクを高めます。脚立の取扱説明書や安全マークをよく読み、正しい使用方法を守ってください。

脚立からの転落事故の発生状況を知る

厚生労働省の統計によると、平成30年度に発生した建設業の労働災害のうち、脚立からの転落事故は1,089件で、死亡事故は9件でした。脚立からの転落事故は、建設業の労働災害全体の約6.5%を占めており、高所作業における重大なリスクとなっています。

令和2年~4年の各年の脚立からの転落事故については、以下のようになります。

  • 令和2年:厚生労働省の統計によると、建設業の労働災害のうち、脚立からの転落事故は1,089件で、死亡事故は9件でした。
  • 令和3年:厚生労働省の統計によると、建設業の労働災害のうち、脚立からの転落事故は1,019件で、死亡事故は5件でした。
  • 令和4年:厚生労働省の統計はまだ公表されていませんが、東京労働局の発表によると、東京都内の建設業の労働災害のうち、脚立からの転落事故は19件で、死亡事故は0件でした。

以上のことから、令和2年~4年の間に、建設業で発生した脚立からの転落事故は減少傾向にあると言えますが、依然として多くの重傷や死亡事故が発生していることがわかります。脚立を使用する際は、安全対策を徹底してください。

転落事故は、重傷や死亡だけでなく、後遺症や休業などの社会的・経済的な損失ももたらします。転落事故の発生状況を把握し、予防策を講じることが必要です。

脚立を適正に使用するコツを覚える

脚立を使用する場合は、以下のコツに注意して安全に作業を行ってください。

  • 作業高さや場所に合った脚立を選び、正しく開き設置し、止め金が止まるまで確認する。
  • 脚立の上では安定した姿勢で作業し、最上段や天板には乗らず、身体を天板や踏ざんに当てる。
  • 脚立から離れた場所に手を伸ばしたり、重い物や大きな物を持ち上げたりしない。
  • はしご兼用脚立を使うときは、必ず補助者がはしごを支えるか、安全帯や墜落制止用器具を着用する。
  • 脚立の使用前後には、破損や汚れがないか点検し、必要に応じて修理や清掃を行う。

最上段の天板に乗らせたいためには「天板に乗るな」シールを貼ってください。それでも乗る場合は、絶対に踏みたくない画像を貼るとか( ゚Д゚)。

脚立は便利な昇降具ですが、安全性や法令遵守の観点からも注意深く扱う必要があります。脚立からの墜落事故を防ぐためにも、正しい知識と使用方法を身につけましょう。

安全に関する研修や、業者会・安全大会での講演等も承ります。業者会・安全大会では、先に現場を見せていただければ、その評価を踏まえてお話しします。
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