親綱について知っておこう!

安全対策

親綱とは

住宅建築現場では、高所作業を行う際に墜落事故を防止するために親綱を使用します。親綱とは安全帯の墜落制止用器具を取り付けるための水平または垂直のロープで、支柱や緊張器などで張られたものです。親綱は、作業者が自由に移動しながら安全帯を連結できるようにするために重要な役割を果たします。親綱の設置義務については、「墜転落防止はどのように規定されているか?」の記事をご覧ください。

親綱の使用注意

親綱には種類があり親綱の外径が12mm以上となっていますが、一般的には外径16mmのものを使用します。親綱を取り付ける時には、以下のような注意事項があります。

  • 親綱の材質は、ナイロンなどの合成繊維で強度や性能に均一性を有するもので、19kN の引張荷重をかけた場合において破断しないものを使用する。
  • 親綱の外径は、12mm 以上であること。
  • 親綱は、作業床面より高さ90cm以上となる位置に取り付けること。
  • 親綱は、1本で2人以上同時に昇降・作業しないこと。
  • 親綱は、著しい損傷や変形や腐食がないことを確認すること。
  • 親綱は、支柱や緊張器などで強固にかつ確実に緊張できること。
  • 親綱は、解体時に容易にロープの緊張を解除できる機能を備えること。

親綱の設置や使用においては、危険な事例も発生しています。例えば、

  • 親綱が適切な張力で張られていなかったために、作業者が墜落した。
  • 親綱が支柱や緊張器に正しく取り付けられていなかったために、作業者が墜落した。
  • 親綱が著しく損傷や変形や腐食していたために、作業者が墜落した。
  • 親綱が1本で2人以上同時に使用されたために、親綱が耐えきれず作業者が墜落した。

正しい使い方をしないと危険です。

親綱の設置方法

親綱を設置する場合、両端にはフックを取り付け片側には緊張器を取り付けます。この緊張器は親綱をピンと張るための装置で、使用する場合の条件があります。例えば親綱の外径が16mm以外を使用しないこと、といった内容です。必ずその条件(禁止事項など)を確認しておきましょう。

親綱は親綱支柱に取り付けるのが望ましいです。この支柱についてはいくつか商品がありますので、それらをよく調べてみてください。足場に取り付ける場合はその取付箇所が非常時に耐えられるかどうかを考えなければなりません。たまに見かけるのが足場支柱1本だけの部分に取り付けている状態ですが、この場合は非常時に支柱が折れ曲がる危険があります。親綱を取り付ける部分を2重にするなどの措置をおこないます。

親綱は10m以内の根拠は?

「親綱の設置はは10m以内に」ということを聞いたいことがあると思います。ではこの「10m以内」とはどこからきたことでしょうか? 主な理由は以下のようになります。

・親綱支柱のスパンが10mを限度としているため
・緊張器のスパンの想定強度が10mとしているため
・10mを超えると地面に衝突する危険性があるため

よって親綱そのものの性能ではなく、親綱を使用する際の器具の性能によるところから決まっています。これらも緊張器や支柱の使用条件として明記されていますので、それらを必ず確認するとともに現場でも親綱設置状況をよく確認しましょう。

親綱は住宅建築現場での高所作業の安全性を高めるために重要な設備です。しかし多くの現場で”飾り”になっています。どうしても使いづらい、かえって邪魔になるという現実もありますが、本当に必要な時は使用するという方針を、会社側で決めないと現場は動きません。もし事故が起きた時には、会社側の安全対策・教育などを問われることになります。それらを踏まえて、安全対策をしっかり決めてください。

安全に関する研修や、業者会・安全大会での講演等も承ります。業者会・安全大会では、先に現場を見せていただければ、その評価を踏まえてお話しします。
お問い合わせは下記よりお願いいたします。
相談・お問合せ

安全対策
さのをフォローする
工務店の業務&現場改善のツボ

コメント