昔に比べると、ヘルメットの着用率が高くなってきていると思われます。しかしながら、足場等の高所作業時のヘルメット着用が主で、その他の場所や作業時のヘルメットについては、まだまだ低いようです。このヘルメットについて、どのようなルールがあるのかを記します。
ヘルメットとは?
ヘルメットは、法律上の名称でいうと「保護帽」にあたります。この保護帽を着用するという文言が、法律の中でも出てきます。法律で定められている以上、ヘルメットの基準というのがあるのですが、これについては、安全衛生法第42条に明記されています。
安全衛生法第42条
特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるもの その他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、 危険な場所において使用するもの又は危険若しくは 健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し又は設置してはならない。
この別表第二とは以下の内容です。
別表第二(第四十二条関係)
一 ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機及びその急停止装置
二 第二種圧力容器(第一種圧力容器以外の圧力容器であつて政令で定めるものをいう。次表において同じ。)
三 小型ボイラー
四 小型圧力容器(第一種圧力容器のうち政令で定めるものをいう。次表において同じ。)
五 プレス機械又はシャーの安全装置
六 防爆構造電気機械器具
七 クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置
八 防じんマスク
九 防毒マスク
十 木材加工用丸のこ盤及びその反発予防装置又は歯の接触予防装置
十一 動力により駆動されるプレス機械
十二 交流アーク溶接機用自動電撃防止装置
十三 絶縁用保護具
十四 絶縁用防具
十五 保護帽
十六 電動ファン付き呼吸用保護具
この十五に「保護帽」が出てきます。
要するに、保護帽は厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しないといけませんということです。
保護帽の規格
保護帽の規格としては、厚生労働省告示第六十六号に定義されています。ここでは材料、構造、耐貫通性能、衝撃吸収性能、性能試験の内容、表示などが定められており、登録型式検定機関が行う型式検定を受けて合格したものでなければならないと規定されています。
保護帽の着用規定
労働安全衛生規則には、この「保護帽を着用させること」という記述が至る所に出てきます。多いのが「事業者が着用させること」「労働者は保護帽の着用を命じられたときは、これらを着用しなけれならない」という文言です。
要するに、事業者の責任において保護帽の着用を命じ、それに従うとこと」ということになります。事業者の責任だということを、よく認識しておいてください。
労働安全衛生規則以外にも、通達で明記されるケースもあります。H8.11.11基発第660号の2では、「木造家屋等低層住宅建築工事における労働災害防止対策の推進について、高所作業に従事する作業者に対しては墜落用保護帽を着用させること」と明記されています。
高所作業以外では保護帽の着用
H5.5.27基発第337号の2に、以下のような一文がありました。
9 木造家屋、軽量鉄骨造家屋建築工事
(1) 災害防止対策の重点事項
木材家屋建築工事等小規模建築工事においては、墜落、木材加工用機械、飛来落下による災害が多発していることから、これらの災害を防止するため、特に次の措置を講じる。
イ 適切な足場の設置、建方時の作業床の設置及び作業床の設置が困難な場合における防網、親綱の設置、安全帯の使用
ロ 保護帽の着用
ハ 木材加工用機械の安全の確保
ただしこの通達は、平成19年3月22日の「基発第0322002号」にて新たな「建設業における総合的労働災害防止対策の推進について」が策定されたことに合わせて廃止されています。廃止されているから守らなくていいという訳ではなく、例えば加工用機械における安全対策としては、労働安全衛生規則 第二編 安全基準 第一章 機械による危険の防止 第百五条や第百六条に、加工物、切削屑の飛来による危険の防止において、保護帽のことが明記されています。よって、保護帽を被る(事業者の責任において被らせる)のが最適解ではないかと考えられます。
ヘルメット(保護帽)がどのような位置づけにあるかを記しました。ルールや基準としては上記の扱いですが、自分の身を守る、社員や職人の身を守るという観点から考えると、事業者の責任においてヘルメット着用のルールを決めてください。ヘルメットを被っていないために重篤な事故が発生した場合、法律うんぬんではなく、おそらく事業者としての責任が問われます。
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