熱中症で気を付けないといけないことは?
熱中症対策は、事業者の責任です。まずはそこを理解しましょう。
熱中症とは何か
熱中症とは、高温多湿な環境下で、体の水分や塩分が不足したり、体温が上がりすぎたりして起こる障害です。めまいや失神、筋肉のけいれんや硬直、頭痛や吐き気、意識障害やけいれんなど、さまざまな症状が現れます。最悪の場合は、脳や心臓などの臓器が損傷し、死に至ることもあります。
熱中症になる原因は、気温や湿度だけではありません。日射や反射熱などの輻射熱や風の強さなども影響します。また、個人差もあります。体調や性別や年齢や暑さに慣れているかどうか、作業の強度や時間や休憩なども関係します。建設現場では、屋外での作業や重労働が多く、日射や反射熱なども加わるため、熱中症になりやすいと言われています。
熱中症対策のルールと責任
建築現場で働く皆さんは、自分の命を守るためにも、法律や規則などに基づいた熱中症対策をしっかりと行ってください。主なルールを以下に示します。
- 労働安全衛生法:この法律は、労働者の安全衛生を確保するために必要な措置を講じることを事業主に義務付けています。具体的には、労働者に対して安全衛生教育を行ったり、作業場の温度や湿度を適正に保ったり、水分補給や休憩を促したりすることが求められます。
- 労働安全衛生規則:この規則は、労働安全衛生法の施行細則であり、作業場における温度や湿度などの基準値を定めています。例えば、作業場の温度は28℃以下とし、それを超える場合は送風装置や日よけなどを設置することが規定されています。
- 建設業労働災害防止協会:この協会は、建設業界団体であり、建設現場での安全衛生活動を支援しています。毎年夏季には「建設現場における暑さ対策指針」を発表し、暑さ指数(WBGT)別に作業管理や健康管理などの具体的な対策を示しています。
熱中症対策の責任は、基本的には事業主にあります。事業主は、労働者の安全衛生を確保するために必要な措置を講じる義務があります。しかし、労働者も自分の健康を守るために、水分や塩分の補給や休憩の取り方などに注意する必要があります。また、現場での作業管理者や安全衛生責任者も、労働者の体調や作業環境をチェックし、適切な指示や支援を行う役割があります。
住宅建築現場での熱中症対策
住宅建築現場での熱中症対策としては、以下のようなことが大切です。
- 気象情報の入手と周知:気象庁や環境省などから提供される気温や湿度、暑さ指数(WBGT)などの情報を入手し、現場での作業計画や休憩時間などに反映させることが重要です。また、情報を労働者に周知し、暑さへの注意を促すことも必要です。
- 作業時間の調整と休憩の確保:気温が高くなる時間帯(午後2時から4時)は作業を控えたり短縮したりすることが望ましいです。また、休憩は1時間ごとに15分程度取ることが推奨されています。休憩中は涼しい場所で水分や塩分を補給し、体温を下げることが大切です。
- 作業員の健康管理と教育:作業前には体調や体温などをチェックし、異常があれば無理せず休むようにすることが必要です。また、熱中症の原因や症状、予防法や対処法などについて教育を行い、自己管理や相互監視の意識を高めることも重要です。特に朝食を抜くのも危険な行為です。
- 服装や装備の工夫:熱中症を予防するには、熱を吸収しやすい服装は避けて、透湿性や通気性の良い服装を着用することが望ましいです。また、日よけ帽子や首回りの保冷剤なども有効です。ヘルメットは通気性の良いものを選ぶか、内側に保冷剤を入れるかすると良いでしょう。
- 作業場の環境改善:作業場には日よけや送風装置などを設置し、温度や湿度を下げることが必要です。また、水分補給用の飲料水や経口補水液などを常備し、手軽に摂取できるようにすることも大切です。
熱中症?と思ったら
熱中症を疑う症状が見られた場合、まずは意識の確認をしてください。意識が鮮明であれば、涼しい環境へ退避し脱衣と冷却をします。そして自ら水分を摂取できるかどうかを確認します。その後回復するかどうかも確認してください。これら途中過程で問題があれば、救急隊を要請しましょう。対処の仕方の図を載せておきます。参考にしてください。
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