労働災害防止計画をご存じですか?
労働災害防止計画とは?
厚生労働省では、労働災害防止計画というものを制定しています。この「労働災害防止計画」とは、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画として、安衛法第6条に規定されています。
中小事業者なども含め、事業場の規模や雇用形態、年齢等によらず、どのような働き方においても、労働者の安全と健康が確保されていることを前提として、多様な形態で働く一人ひとりが潜在力を十分に発揮できる社会の実現に向け、国、事業者、労働者等の関係者が重点的に取り組むべき事項を定めたものです。ご存じでしたでしょうか?
昭和33年(1958年)に第一次労働災害防止計画が公示され、その後5年ごとに策定されています。現在は、2023年4月からの5年間を計画期間とする「第14次労働災害防止計画」がスタートしています。
第14次労働災害防止計画(厚生労働省HPより抜粋)
1 計画のねらい
(1)計画が目指す社会
誰もが安全で健康に働くためには、労働者の安全衛生対策の責務を負う事業者や注文者のほか、労働者等の関係者が、安全衛生対策について自身の責任を認識し、真摯に取り組むことが重要である。また、消費者・サービス利用者においても、事業者が行う安全衛生対策の必要性や、事業者から提供されるサービスの料金に安全衛生対策に要する経費が含まれることへの理解が求められる。
これらの安全衛生対策は、ウィズ・コロナ、ポスト・コロナ社会も見据え、また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展も踏まえ、労働者の理解・協力を得ながら、プライバシー等の配慮やその有用性を評価しつつ、ウェアラブル端末、VR(バーチャル・リアリティ)やAI等の活用を図る等、就業形態の変化はもとより、価値観の多様化に対応するものでなければならない。
また、労働者の安全衛生対策は事業者の責務であることが前提であるが、さらに「費用としての人件費から、資産としての人的投資」への変革の促進が掲げられ、事業者の経営戦略の観点からもその重要性が増してきており、労働者の安全衛生対策が人材確保の観点からもプラスになることが知られ始めている。こうした中で、労働者の安全衛生対策に積極的に取り組む事業者が社会的に評価される環境を醸成し、安全と健康の確保の更なる促進を図ることが望まれる。
さらに、とりわけ中小事業者等も含め、事業場の規模、雇用形態や年齢等によらず、どのような働き方においても、労働者の安全と健康が確保されることを前提として、多様な形態で働く一人一人が潜在力を十分に発揮できる社会を実現しなければならない。
注目ポイント
「消費者・サービス利用者においても、事業者が行う安全衛生対策の必要性や、事業者から提供されるサービスの料金に安全衛生対策に要する経費が含まれることへの理解が求められる」とあります。安全対策にはコストも掛かってきますが、これは必要なことという認識をしてもらうよう努めましょうということです。
「うちの会社は価格を抑えています。安全対策の分も。」これを胸を張ってい言えるのであればどうぞ。お客様からしたらどう思うでしょうか? 「他社よりも少し高いかもしれませんが、安全対策をしっかりするためです。」こちらであれば、お客様も信用・信頼に結び付くと思います。考え方は人それぞれですから一概には言えませんが。
第11次から13次労働災害防止計画
これまでの内容の一部を掲載しておきます。第11次では、「事業場の生産活動を優先するあまり、労働者の安全と健康の確保がおろそかになってはならないことであり、事業者をはじめとする関係者は、 常に労働者の安全と健康の確保を優先しなければならない」と記述されています。
第12次では、「安全や健康のためのコストは必要不可欠であることを正しく理解し、それ ぞれが責任ある行動を取るような社会にしていかなければならない」
第13次では、「個人請負といった働き方においても、安全や健康が確保されなければならない」とあり、現場でいうと大工さんなどの個人に対しても安全確保が必要だと謡われています。
このように、国では全てに働く人の健康と安全を確保するよう明文化されていますので、現場の安全対策においても「コストが掛かる」という考え方ではなく、如何にして健康と安全が守られるかという視点から考えるようにしてみてください。
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