住宅現場の安全に対する考え方

ちょっとひと息

安全の規定は最低限のルール

住宅建築現場において、安全確保は最優先の課題です。労働者の安全を確保することは企業の責任であり、社会的義務でもあります。具体的なポイントとして、安全に関する規定、企業としてより安全な現場をつくるための取り組み、安全に対する考え方を社内で意思統一する方法について記述します。

住宅建築現場における安全に関する規定は、あくまでも最低限の基準として遵守されなければなりません。労働安全衛生法や労働安全衛生規則などの法的要件を順守することは当然ですが、それだけでなく、例えば仮設工業会など業界が定める業界基準をも取り入れましょう。これらの規定は、労働者の安全確保だけでなく、建物の品質や信頼性にも影響を与える重要な要素になります。

ただし、これらの規定はあくまでも最低限遵守するものであり、企業としては単に最低限の法的要件を満たすだけでなく、より高い安全基準を設けることが求められます。例えば「足場の作業床と躯体との距離は30cm以下にしましょう」という規定がありますが(詳しくは「足場の作業床と建物との間隔」をお読みください)、30cm以下を守っていたとしても事故が起きれば責任を問われます。つまり、最低限の規定を守れば安全という訳ではないということです。

このようなことから、企業として安全な現場をどうのようにつくるのかを、しっかりと確立しておくことが必要になってくるのです。

安全に対する教育

安全に対する教育や対策は、年間の安全衛生計画というものを作成して進めるといいです。例えば、「〇〇の資格は、年内に取得しよう」といった具合です。また教育としては以下のような点を考えてみるといいです。

  1. 社員や業者・職人に対して、安全に関する教育を定期的に実施しする。例えば定期的に安全パトロールをおこない、良い悪いを皆さんの目線で統一しつつ、安全に対する意識を高めることが有効です。新入社員の研修だけでなく、関係者全員にも定期的な教育を行い、安全対策や手順などを習得させることが必要です。
  2. 現場での作業においては、適切な安全対策を講じることが不可欠です。規定を順守することから、適切な保護具の着用や機械の点検・メンテナンス、危険箇所の適切な警告表示などが含まれます。
  3. 安全管理体制を確立し、組織として現場の安全を管理することが重要です。安全に対する意識を持つ社員を育成し、危険を未然に防ぐ仕組みを構築します。

安全に対する考え方を社内で意思統一する方法としては、次のようなこともあります。

  1. 社内全体で安全に対する重要性を共有し、コミュニケーションを活発に行うことが大切です。安全に関する情報は定期的なミーティングや報告書を通じて共有されるべきです。
  2. 安全に対する目標を定め、その達成度を定期的に評価することで、社内全体が安全へのコミットメントを持つよう促します。
  3. 安全に対する考え方はトップダウンのリーダーシップによってもたらされるものです。経営陣が積極的な姿勢を示し、安全を第一に考える企業文化を醸成することが重要です。

現場で起きたことを常に記録、改善へ

ヒヤリハットという言葉を聞いた事があると思います。ヒヤリハットとは、事前に事故やトラブルの兆候を感じ取ることができる危険な状況やリスクを指す言葉です。建築現場においてもヒヤリハットは非常に重要であり、早期に察知し適切に対応することで事故や損害を未然に防ぐことができます。

日常的に現場で仕事をする中で、危険を感じることがあると思います。この時感じたヒヤリハットを無視せずに注意深く察知し、報告することで、潜在的な問題に早期に対処できるようになります。

ヒヤリハットを活用するためには、現場で積極的にヒヤリハットを報告できる風土を醸成する必要があります。現場の労働者は、日常的な業務に追われる中で、些細な変化に気づくことが難しい場合があります。そこで、会議や定期的な報告の場を設けることで、ヒヤリハットの報告を促進し、職場全体の安全意識を高めることができます。

報告されたヒヤリハットを集約し、定期的に分析することで、共通する危険なパターンやリスクを把握することができます。これにより、現場の安全対策をより効果的なものに進化させることができます。ヒヤリハットを基にした改善策の実施や、適切な教育・トレーニングプログラムの導入なども挙げられます。

原理原則のような考え方をお伝えしました。全てをすぐに取り組むことは難しいかもしれませんが、安全対策は必須事項ですので、まずは再点検をおこなってみてください。ただし、最低限の法的要件を遵守するだけでは十分ではありません。企業としてより高い安全基準を設け、従業員の教育とトレーニング、適切な安全対策の強化、安全管理体制の確立を行うことが必要です。また、現場でのヒヤリハットを教訓に、より安全な現場を実現することで、現場の安全確保と建物の品質向上につながることを忘れずに取り組みましょう。

安全に関する研修や、業者会・安全大会での講演等も承ります。業者会・安全大会では、先に現場を見せていただければ、その評価を踏まえてお話しします。
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